|精神科訪問看護で見方が変わった話
― 精神科訪問看護の現場で学んだこと ―
※この記事は、精神科訪問看護に戸惑いながら現場に立ち続けた訪問看護師が、人との関わりに悩みつつアイル浜西の利用者構成や実体験をもとに、精神科訪問看護の特徴と向き合い方をまとめた記録です。
## 精神科訪問看護に戸惑った入職当初
精神科訪問看護に戸惑った入職当初
精神科訪問看護は、スタッフ皆未知な世界。
アイル浜西では、精神科訪問看護へ行く前に精神科訪問看護基本療養費の要件を満たすための研修(障がい者の在宅看護セミナー20時間の研修)を行う環境を用意してくれます。そこで最新の知識をアップデートすることができます。
アイル浜西は、立ち上げ当初から精神科領域とのつながりが強く、
精神科訪問看護の依頼も多いステーションです。そのような背景を十分に理解しないまま入職した当初、
精神科訪問看護は、私にとって未経験の分野であり、
何を基準に利用者さんを捉え、関わればよいのか分からず、
戸惑いを感じる場面が続きました。過去には、精神科の利用者さんのペースに影響を受け、
自身のコンディションを崩してしまった経験もあります。
そのため、精神科訪問看護に対しては不安や抵抗感が強くありました。
「精神訪問看護を行うつもりで訪問看護に来ていない」そんな言葉を、私は本気で思っていたし、実際に怒っていた時期がありました。
と同時に、人間関係に難しさを感じる場面が多い1年でもありました。
看護師として働いてきた中で、
「自分はこの現場に向いているのだろうか」と立ち止まることもありました。精神科訪問看護では、
症状だけでなく、関係性や距離感が支援の質に大きく影響します。「できない」「分からない」
そうした気持ちが、
態度や言葉に表れてしまったこともあったと思います。何度も退職を考えたこともあります。
現場に立ち続けられるのか分からなくなることもありました。そんな中、メンバーと、営業周りをしていた頃、
専門学校時代にお世話になった別の先生と再会する機会がありました。
その先生はいま現在も、精神科領域のプロとして現場に立っていたこともあり、
精神科訪問看護未経験の私に精神科訪問看護について、基礎の基礎から教えていただきました。そしてもう1つ。
SNSを通じて、数年ぶりに再会した恩師の存在です。
SNSで友人経由で私が訪問看護の立ち上げスタッフとして現場に出ていることを知った
先生自ら連絡をくださり、卒業した学校の評議員として推薦していただきました。この出来事、そして、思いがけないその言葉は、
これまで積み重ねてきた時間を、
少しだけ肯定してもらえたような感覚だでした。そして
もう少し踏ん張ってみようと思える力になった。「もう少し、ここにいてみよう」
そう思うきっかけになりました。
基礎から学び、見方が変わった経験
## 基礎から学び、見方が変わった一年
先生から最初に勧められたのが、
全国精神保健福祉法人のホームページに掲載されている
「統合失調症の家族の方へ」というパンフレット。
そこには、
疾患の説明だけでなく、
本人や家族が置かれやすい状況、
支援者が意識すべき視点が、丁寧に言葉で示されていました。
学びを重ねる中で、
精神科訪問看護にも、急性期・慢性期のように
「今どの時期にあるのか」という考え方があることを知りました。
この視点を持つことで、
単に「対応が難しい利用者さん」と捉えるのではなく、
「今、どの段階にいる人なのか」を考え、症状が前に出やすい時期なのか。
生活を整えていく段階なのか。
そうした見方を持つことで、
ただ大変なケースとして捉えるのではなく、
「今、ここにいる人」として向き合う余地が生まれました。
人間関係の難しさも、分野への戸惑いも、
この1年で解決したわけではないですが、
それでも現場に立ち続け、
気づけば1年が過ぎていました。
現在のアイル浜西の利用者構成と現場の実情
## 現在のアイル浜西の利用者構成と現場の実情
現在のアイル浜西では、
介護・医療領域の利用者さんが約4割、
精神科領域の利用者さんが約6割を占めています。利用者構成は常に変動しており、
それに応じて、私たち訪問看護師に求められる視点や役割も変化しています。精神科訪問看護は特別な分野ではありますが、
「精神だけ」「医療だけ」と切り分けられるものではなく、
生活全体を支える視点が求められると感じています。
見学時に大切にしていること
## 見学時に大切にしていること
これから就職を希望される方に対しては、
見学の段階で、
アイル浜西の利用者さんの現状や、
私たちが日々行っている取り組みを、できるだけ具体的に伝えています。
勤務を始めてから、
「こんなはずじゃなかった」と感じる
リアリティショックはできる限り避けたい。
自分自身が戸惑い、立ち止まり、
ときに崩れそうになった経験があるからこそ、
同じような思いをする人を少しでも減らしたいと考えています。
人間関係が得意でなくても、現場に立てた1年
今でも、恥ずかしながら、精神科訪問看護が得意ではないです。
人間関係についても不器用なことばかりです。
それでも、向き合い方については、
少しずつ整理できるようになってきたと感じています。
「成長した」と言えるほどではないが、
「無事だった」と思える1年でありました。
その経験を、
これから関わる人たちに還元していけたらと思っています。

